すり抜け走行のコツ

1. 注意

まずはじめに断っておきますが、この記事は危険なすり抜け走行を助長するものではありません。

すり抜け走行は危険な行為です。ざっと挙げるだけでも、以下のようなリスクがあります。

・四輪車の急な車線変更に巻き込まれ転倒。

・四輪車が幅寄せし、巻き込まれ転倒。

・いわゆるサンキュー事故。

・すり抜けしようとして割り込んだ他の二輪車との事故。

すり抜け走行による事故には、死亡事故となった事故もあります(例:神奈川県川崎市で発生した、トラックとタンクローリーの間をすり抜けようとして転倒し巻き込まれた事故)。

 

すり抜けは危険と引き換えに時間を短縮する行為です。安全第一のライダーであれば、すり抜けは控えるべきです。リスクが大きすぎます。

 

それでもすり抜けがしたい方は、お読みください。

2. まえがき

時間勝負の通勤ライダーにとっては、すり抜けは必須と言っても過言ではありません。

しかしネット上では「すり抜けはしない」という言論が優勢であり、すり抜け方法に関する内容を記したサイトは事実上タブーなのかわかりませんがほぼ皆無です。そのためか、安全なすり抜けの方法がわからないというライダーの方も多いと思われます。

朝忙しく時間勝負の通勤ライダー、すり抜けをして時短したいライダー、高速の渋滞を無事にすり抜けたいライダー等、「安全かつ効率的にすり抜けたい」ライダー全員にこの記事を捧げます。

筆者は朝晩の通勤渋滞、市街地走行、片側2~3車線の道路、工事渋滞、事故渋滞、高速道路のすり抜け等でこれまでに約1万回以上のすり抜けを経験しました。その経験をもとに、すり抜け走行のコツを伝授致します。

 

3. すり抜け走行の心構え

すり抜け走行をするライダーに必要な心構えを解説します。以下4点です。

・無理をしない

すり抜け走行は危険なものです。よって、無理をすると死亡事故につながる可能性が一気に上昇します。

ここでいう「無理」とは、たとえば

・通れるスペース幅が明らかに狭いのに無理してすり抜ける

・カーブ区間や対向車線へのはみ出し

・高速度(根拠はありませんが、概ね車の流れより50キロ以上速い速度)でのすり抜け

などが挙げられます。

すり抜け走行をしたことで事故を起こし、死亡するのはほぼライダーです。バイクは生身で乗る乗り物であることを忘れず、決して無理なすり抜けはしないようにしてください。

・他の交通に配慮せよ

道路を走っていると、四輪車や他の二輪車、自転車、歩行者等たくさんの交通があります。道路はあなただけのものではありません。他の車を押しのけるようにホーンや空ぶかしで威嚇しながらのすり抜け、歩行者妨害等は論外です。進路変更したい車には譲り、左折したい車には左からすり抜けせず、歩行者が横断している時は横断が終わるまで待つ、というように他の交通に配慮してすり抜けをしてください。

・全方位に気を配れ

すり抜け中はちょっとした操作ミスや他車の動きが事故につながるリスクが飛躍的に増加します。事故を避けるためにも、漫然とすり抜けするのではなく、ミラー、自分の耳、目視を駆使して全方位に注意してください。

・ノーウインカーで急な車線変更をする車

 ・突然ハザードを出し止まるタクシー

・真横から車線変更しようとする車

・突然左から車線間に割り込むバイク

等々、様々なリスクが考えられます。これらに対処するために注意してください。

・黄色線でのすり抜けはしない

 これは特に都内を含めた首都圏で言えることなのですが、黄色線でのすり抜けをすると取り締まりの対象となります(筆者も一度これで取り締まりを受けたことがあります)。たまたまそこに警察がいた場合、高確率で止められ違反切符を交付されます。

 

 

4.すり抜け走行のコツ(全般)

すり抜け走行のコツ全般について、4点解説します。

・車幅を把握せよ

最も重要です。すり抜けをする際には、自分のバイク+装備の車幅を把握すること、そしてすり抜けラインを目測してすり抜けできるかを見極めることが必要不可欠なためです。車幅を把握するためには、実際に渋滞をすり抜けて練習するか、路側帯にバイクを停めて幅を把握したりする方法があります。注意してほしいのは、張り出したミラーやパニアケースです。目測ではいけると思っても、実際にすり抜けてみると幅が狭く、ミラーにヒットした...なんてことになりかねません。これらの装備が付いたバイクに乗る場合は、すり抜けは控えめにしてください。

・四輪車のミラーに注意

四輪車のミラーの位置は車によってまちまちです。顕著なのは、トラックやハイエースのミラーの位置の高さです。この点を意識しないと、「ある車の横は無事に抜けられたが別の車のミラーにヒットしてしまった」ということが起きるかもしれません。慣れるまでは低速かつ慎重にすり抜けすることをお勧めします。

・メリハリをつけよ

高速道路などでたまに見るのですが、車線間にまたがって走ってすり抜けするかしないかわからないバイクがいます。正直四輪車のドライバーから見るとうざったいし、他のバイクから見てもすり抜けラインがふさがれるので面倒です。初心者だと難しいかもしれませんが、車幅を把握して、行けそうなら行く。行けなさそうなら行かずに元の位置に戻る。というふうにメリハリをつけるようにしましょう。

・前方注視

安全にすり抜けをするためには、前方注視は不可欠です。車線変更する車、路駐している車、客を乗せるために停止したタクシー、前方の車線規制や道路工事等、様々な条件に応じて周囲の交通の挙動が変化します。これに素早く対応するため、前述した「全方位に気を配る」ことに加え、特に前方を注視してください。

5. 一般道路のすり抜け

後日執筆予定です。

 

6. 高速道路のすり抜け

ここでは、高速道路を利用するライダーが多い休日に絞って解説します。休日の高速道路の渋滞の特徴としては、

・道幅が広い(すなわち、車線間のすり抜けラインも広くなる場合が多い)

・渋滞長が長い

サンデードライバーが多い

といったものが挙げられます。これを踏まえた攻略方法を以下3点解説します。

・路肩走行は厳禁

高速道路では路肩(厳密には路側帯の外側)の走行は禁止されており、取り締まりの対象となります(筆者も取り締まりを受けている風景を見たことがあります)。そのため、すり抜け時は車線間をすり抜けるようにしてください。

・周囲の車に存在をアピールする

サンデードライバーが多く渋滞長も長いことが多いため、四輪のドライバーも漫然と運転しているケースがよくあります。すり抜けするバイクがいないだろうと思ってハンドル動作をする車も少なくありません。さらに、夜になるとドライバーから見たすり抜けをするバイクに対する後方視認性はさらに低下し、ヘッドライト程度になります。存在をアピールし事故を防止するため、ハザードランプが装着されているバイクの場合はハザードランプを点灯したり、迷惑にならない範囲でハイビームを点灯するなどして存在をアピールすることをお勧めします。

・急な車線変更や幅寄せに注意

サンデードライバーは普段車に乗りなれていない者が多く、またファミリーカーに乗る家族の子供がSAの500m手前で「トイレに行きたい」と言ったために急な車線変更をする場合があります。そのため、普段よりも周囲の車の動きに注意してすり抜けをしてください。

特に注意すべきなのは、SA/PA/IC/JCTの後方2km(案内標識が出てから)、前方1kmです。経験上この区間では車線変更が多いため、急に車が車線変更しても対処できる速度ですり抜けをするようにしてください。

 

7. 通勤時のすり抜け

 後日執筆予定です。