なぜ大阪の規制標識は老朽化して見た目が汚いものが多いのか

大阪府内の道路を走っていると、他府県の道路と比較してやたらと錆びていたり、退色している規制標識が多いように感じる。特に他府県から転勤してきて、車をよく運転する方であれば理解していただけると思う。

わかりやすい例として、Googleストリートビューから引用した実際の写真を掲載する。

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(1)左の画像:大阪市淀川区。かなり老朽化しているが、大阪府内では珍しくない。

(2)中央の画像:守口市。鉄板製かつ防錆塗装がなされていないため裏側が錆びているが、この程度の錆び具合は大阪府内の鉄板製標識の中では平均的なレベル。

(3)右の画像:大阪府阪南市。設置後15年程度でこの有様である*1

 

このように、老朽化した規制標識が他府県と比べて明らかに多く、景観上も好ましくない。個人的には、「大阪は汚い」というイメージに拍車がかかる原因になっているほどではないかと思う。

色あせた程度の規制標識は他府県でも珍しくないが、大阪府の場合はその数が他府県の追随を許さず、さらに錆と著しい変色を呈しているものも少なくない。

では、なぜ大阪府内の規制標識で老朽化したものが多いのだろうか。原因は以下2点であると考えられる。

  • 予算が少なく交換が追い付かない

大阪府の場合、予算が少なく交換しようにも交換費用を確保できないケースが多いと推測される。この要因には社会福祉費用が高額なことや税収の減少といったものが考えられる。

対して予算が潤沢な東京都では標識の交換ペースが10~15年と早く、老朽化する前に交換されることがほとんどであるため、老朽化した標識はほとんど見かけない。

  • 老朽化しやすい材質の標識が数多く残っている

大阪府公安委員会は、2003年まで画像(1)、(2)のような鉄板製の標識を新設していた。鉄板製標識は初期費用が安く済む分、錆びやすいという欠点がある。他府県では概ね1970年代中頃にアルミ製に切り替わり、切り替えの遅かった地域でも平成初期までにはアルミ製に切り替わっていたことを考えると、何か利権が絡んでいたのではないかと勘ぐってしまうほどの遅さである。

また、反射材の材質も数年前*2までは退色しやすい封入レンズを使用していた。画像(3)の標識は、この封入レンズを使用したものである。

 

これらの事情から、大阪府内の規制標識は「錆びやすく、短期間で退色ないし変色する」という特性があった。このことから、画像(3)のように短期間で見た目がみすぼらしくなるケースも多く、そこに予算の少なさによる交換周期の長さが輪をかけて、老朽化した標識が非常に多くなったと考えられる。

 

老朽化して見た目が汚くなった標識は景観上好ましくない。6年後に万博を控えた今、大阪府公安委員会にはこうした標識は早急に交換するよう努めてもらいたいと思う。

 

参考文献

・「道路標識調査ノート」(http://roadsign.sunnyday.jp/

*1:この標識が設置されている道路(第二阪和国道)の開通が2003年4月であることから、その際に設置された標識であると考えられる

*2:具体的な切り替え時期は不明だが、標識版裏の設置時期を見る限りは2015年頃か